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飯島利一

Author:飯島利一
授業づくりJAPAN(日本の誇りと歴史を伝える授業づくりの会)は独立国日本の再建を志す教師の会です。誇りある日本人を育てる授業を実践し、全国の同志と支え合います。国を思い先人に感謝し卑怯をにくむ日本人、日本人の自由と真実を守るために戦うことのできる日本人を育てます。

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高等学校 歴史と文化の授業

☆はじめに
 教科書の語る縄文時代は、縄文土器をはじめとする遺物、貝塚などの遺跡など考古学的なアプローチのみで語られているために、どうしても人類史的な、一般化されたイメージでしか浮かんでこない。縄文時代が、わたしたち日本人の祖先を語っているという視点が欠けているためではないだろうか。
 縄文時代から日本人は、日本の豊かな自然と共に生きる術を学び、草原や遊牧の社会・砂漠の文明にはない、日本人独自の営みを育んできた。そして、そのなかで醸成された日本人の自然観や自然への信仰は神道の源流となり、現代の社会に受け継がれている。
 そこで、この授業では、「縄文人がいかに自然と向き合い大切にしてきたか」に視点をあてて、その思想・価値観が現代の私たちにも受け継がれていることを学ぶ。縄文人が現代のわたしたちと関わっていることを自覚することで、日本人の意識形成につなげていく試みである。

☆授業の展開
1.「となりのトトロ」はどんな生き物?
宮崎駿監督のスタジオジブリの映画「となりのトトロ」を見たことありますか。主人公のサツキとメイが、都会から田舎の古い家に引っ越してきて、森の中でクスの木の根元に棲む不思議な生き物トトロと出会う物語です。

ほんとうにたくさんの人がこの映画を見ているようですね。ジブリはすごい人気です。この映画は子ども向けのアニメ映画と言えないほど、大人が見ても面白い。家族みんなで楽しめる映画です。わたしは、美しいアニメーションで古き良き日本の原風景が映し出されると、ほんとうの映像を見ているより癒される感じがしてきます。

ところで、実はこの映画、縄文時代と密接に関わっていると言われているのを知っていますか。たとえば、サツキのお父さんは縄文時代を研究する考古学者です。そしてお父さんは、妹のメイから森でトトロと出会ったという不思議な話を聞くと、トトロが棲むそのクスノキを訪れて「昔、人と木は仲良しだった。木と話をしていたのだ」と、娘たちに語りました。その「昔」とは縄文時代を指しているのです。

それでは、トトロと縄文時代とはどのような関係があるのでしょうか。まず、トトロのキャラクターをイメージしながら、次の問題を考えてみてください。

[問題] トトロはどんな生き物でしょうか。
  (イ)森にくらす熊のおばけ 
  (ロ)クスの木に棲む神さま
  (ハ)まだ発見されていない珍しい新種の動物 
  (ニ)森の動物たちを支配する妖怪


正解はまだ伏せておきます。今日は縄文時代の人々のくらしについて学んでいきます。そのなかで、この答えは明らかになってくるでしょう。

2.三内丸山遺跡から分かること
縄文時代はいつからどのようにはじまり、この列島に生活をしていた人はどのように暮らしていたのでしょうか。

今からおよそ一万二千年前、地球の環境は氷河時代と言われる更新世から、温暖な完新世へと変化します。大陸と陸続きであった日本列島は、切り離されて現在に近い状態になり、みずみずしく緑が生い茂り、シカやイノシシなどの動物が生息する温暖な自然環境が生まれました。このような環境で縄文人たちの生活ははじまります。

そのくらしを知る手がかりの一つが、三内丸山遺跡です。三内丸山遺跡は、青森県青森市にある縄文時代の集落遺跡。一九九二年、県営の野球場建設のため、この辺りを調査したところ大規模な集落が見つかりました。縄文時代前期から中期のものと推定されたこの遺跡は、広場を囲むように住居が造られた環状集落で、竪穴住居や高床倉庫のほか、大型の竪穴住居が10棟以上、さらに祭祀に関わると見られる大型掘立柱建物が存在したと想定されるなど、これまでの縄文時代のイメージを大きく覆すものでした。

三内丸山をはじめとする最近の縄文遺跡の発掘からは、より具体的なこの時代の先人の生活の様子が明らかになっています。教科書の内容をまとめておきましょう。
(1)縄文時代の人々は、食料としてくり・くりみ・ドングリなどの木の実やヤマイモなどを採取するばかりでなくクリ林の管理マメやエゴマなどの栽培も行っていたらしい。
(2)狩猟では弓矢が使用され落とし穴を利用して、イノシシやニホンシカなどを獲っていた。入江の多い日本列島では漁労が発達した。釣り針や銛などの骨角器や、石錘・土錘が発見されることから網を利用した漁法も盛んであった。
(3)丸木舟も各地で発見されており、伊豆大島・八丈島まで縄文文化が広がっていることから外洋航海術をもっていたことがわかる。
(4)縄文人はおもに日当たりが良く水辺に近い台地状に集落をつくり、定住的な生活をしていた。集落には、中央の広場を囲むように竪穴住居が環状に営まれ、貯蔵穴や墓地などがあった。  
(5)縄文時代の人々の集団は、近隣の集団とさまざま情報を交換しあった。黒曜石などの石器材料やひすいなどの分布から、遠方集団との交易も推測されている。
 縄文時代の人たちは、豊かな大自然に順応したくらしを発達させながら、逞しくそして穏やかに暮らしていた様子が浮かび上がってきませんか。

そこで、次の問題です。

[問題]次の写真は何でしょうか。
縄文ポシェット

植物をつかって袋状に編まれていることがわかります。いわゆる「縄文ポシェット」と言われるものです。このようなバックは今でも似たようなものがありますよね。

[問題]実はこのポシェットが発見されたとき、袋の中にはある物が入っていました。そのある物とは何だったでしょう。

正解はクルミです。縄文人たちは森の中に分け入って、クルミやドングリなど採取していたことがわかっています。三内丸山の縄文人が、木の実を拾い集めてムラに帰り、もしかしたら食事の支度でもするときに、ひとつだけ出し忘れてしまったクルミかもしれません。やがて、土に埋もれそのまま数千年の時を経て発見されたのです。このように想像を膨らませると、遥か太古の私たちのご先祖さまの営みが身近に感じられてきませんか。

3.縄文土器は世界最古
縄文時代は、その名の通り縄文土器がつかわれていた時代です。土器は世界各地の文明でつくられたもので、いわゆる世界の四大文明の遺跡からも数多く出土しています。そこで問題です。

[問題]世界で最も古い土器をつくったのは次のうちどこでしょうか。
 (イ)メソポタミア (ロ)エジプト (ハ)中国(殷) (ニ)日本列島


意外と知られていない事実ですが、世界で最初に土器を発明したのは縄文時代のわたしたちのご先祖さまなのです。したがって正解は(ニ)。世界最古の縄文土器は、青森県の大平山元I遺跡から出土した物で、最新の年代測定法による分析の結果、なんと1万6500年前の物である事がわかっています。ただし、これは現時点での発掘成果の結果であって、日本よりも古い土器が発見される可能性はあります。

それでも、1万6500年前と言うことはダントツで世界最古にあたっており、世界最古の文明メソポタミアでさえ土器の歴史は1万年前ぐらいにしか遡る事は出来ないのが現状なのです。これは特筆すべき日本の原始文化と言えるでしょう。私たちの先人は、世界の文明に先駆けて、豊かな大自然に順応し、その恵みによって暮らしていたと考えられているのです。

ちなみに、表面に縄目の文様をつけたことはよく知られていますが、縄目文様のみならず、縄文土器は時代によってさまざまなデザインがあり、実に多様で豊かな造型をもっていたことが注目されています。

4.豊かな自然と縄文人の信仰
縄文時代の先人たちは、豊かな自然にいち早く順応したくらしを発達させてきたことがわかりました。そこで縄文の人々の自然観についての問題です。

[問題]縄文時代のご先祖さまは、豊かな恵みをもたらし、また地震や台風などの天災をひきおこす自然をどのようにとらえたでしょうか。
(イ)自然は人のくらしを便利にするもので、利用できると考えた。
(ロ)自然を畏れ敬い、その中に神が宿ると考えた。
(ハ)自然に左右されないように、人が自立できる文化をつくろうとした。


正解は(ロ)。どうして自然に神が宿るのでしょうか。

日本の風土には生命の源となる光や水と土と緑が国土にあふれ、このため海も山も平野も生気が漲っています。そして自然には、春夏秋冬の四季があり、季節がめぐって、その姿はくり返し再生されています。その豊かな自然の恵みによって、日本列島に生活する人たちのくらしは支えられたのです。

また一方で日本では、地震・雷・台風など自然災害にたびたび見舞われます。天災の国でもあるのです。そのため縄文人たちは、豊穣な自然の恵みによって生かされていることを感謝すると同時に、自然の厳しさ・恐ろしさも感じざるをえませんでした。このことを悟ったわたしたちの先人は、自然を畏れ敬い、自然の中に霊性を感じ、そこに神が宿ると考えたのです。

一つ例を紹介しましょう。小学生の子どもの頃、真夏の夕暮れ時に、それまですごく晴れて入道雲が出ていたのに、急に空が灰色の雲覆われたかと思うと、ゴロゴロと雷が鳴りって豪雨におそわれた、という経験がありませんか。夏によくある夕立ですね。そのとき、お母さんから何か言われたことありませんか。「雷さまにおヘソを取られるから、おヘソを隠しなさい」と。心あたりのある人が多いのではないでしょうか。その時、お母さんが言った「雷さま」って、いったい誰なのでしょう。「雷さま」は、仏教の教えにも、儒教にも、キリスト教の神様にも存在しません。これは「雷」という自然現象に霊威を感じ、そこに神が宿っていると考えたものなのです。もしかしたら縄文時代以来、現代にいたるまで、日本国のお母さんたちは、ずっと子どもを諭す言葉として「雷さまにおヘソをとられる」を使いつづけてきたのかもしれませんよ。

このように、わたしたちの先人は自然を大切に、自然と共に生きる精神文化・心の文化を創りあげてきたのだと言えるでしょう。いわゆる砂漠や草原に住む民族や、常に寒冷・熱帯の気候に暮らす人々、自然に四季のうつろいが見えにくい地域とは異なった、日本独自の自然観・世界観を育んだと考えらます。

ちなみに西欧文明の自然観は(イ)(ハ)のような立場であるという指摘があります。西欧では森のあるところに文明が興りますが、自然のあり方を未開・野蛮とみなし、開発の対象と位置づけている。キリスト教会などの美しい西欧建築は、自然を取り払った広場の中に、自然を征服した姿で建築されているものが数多くあります。

5.まとめー日本人と自然との関わり
縄文時代は一万年間。その悠久の時間の中で育んだ日本の先人たちの自然観は、現代の私たちの心のうちに受け継がれているのかも知れません。

[問題]次の資料を読んで、感じたこと・考えたことを書いて下さい。

 日本人は自然に順応して暮らし、森羅万象に神を見る八百万の神々をもち、神々と共生してくらす国柄を生んだ。そして自然をあるがままに受け止め、畏敬し感謝し自然にとけ込もうという考え方である。これはその後、神道の基本となり、日本人と日本の歴史に大きな影響を与えた。日本の神はかならず鎮守の森に鎮座しているのである。
 また、日本の豊かな自然は、外国にはない日本人の豊かな情緒性を生んだ。春にさくらが、秋に紅葉が舞う儚さに、わたしたちは心が動かされ、「もののあはれ」を感じる。このような自然に対する感受性が豊かなのは日本人の誇るべき美徳と言えるだろう。さらに、環境問題へのとりくみ、エコロジー・省エネをはじめとする自然保護や環境への配慮は、私たち日本が先進国と言われている。これら自然に対する日本人の独特の想いこそ、縄文時代のくらしが今に残っている証と言えるのではないだろうか。


授業の最後に冒頭でのトトロについて答えましょう。もうお分かりですね。正解は、(ロ)「クスの木に棲む神さま」です。かわいいトトロのキャラクターはジブリによって創造されたものですが、宮崎監督がトトロに込めた思いは、自然・森に宿る神さまなのです。この映画のキャッチコピー「このヘンな生き物は、まだ日本にいるのです。たぶん。」には、「日本人の自然との共生」への願いが表現されているように感じます。
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